「猫が30歳まで生きる日」 宮崎徹 著
血中タンパク質AIM(apoptosis inhibitor of macrophage)のことは、今や猫ご家族のほとんどがご存じではないでしょうか。
そのAIM研究をされている宮崎先生が書かれた本です。
私はAIMについて、2020年JBVP(日本臨床獣医学フォーラム)で受講した北里大学の岩井聡美先生の「猫の腎臓病」セミナーで初めて知りました。
宿命といわれていた猫の腎臓病の原因が解明されつつあることに驚き、ワクワクしたのを憶えています。
記憶が新しいうちにAIM旋風が巻き起こり、フードまで誕生しました。
体内のデブリ(ゴミ)を掃除するのに必要な物質、AIM。
AIM自体は猫の血中にたくさんあるのに、人やマウスと違い、猫のAIMはIgMに結合したまま離れず尿中に落ちてきません。そのせいでデブリの掃除がゆっくりとなり、慢性腎臓病に陥りやすい・・・。
それならば、投与すれば・・・と研究が進みます。
本の中には、人間の医者である宮崎先生が猫のAIM治療研究に辿り着くまでの軌跡や、実際AIMを投与された猫さんたちの話があります。
AIMのことが、素人である私たちにも理解しやすいよう絵を交えながら記されています。
AIMは、人の腎臓病やアルツハイマー型認知症、自己免疫疾患などへの活用も期待されているそうです。
そんなAIMを知る手引書として、猫の腎臓病に興味がない方にも、とてもおすすめな本だと思います。
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